めまい
めまいとは?
「めまい」とは、体がふらつく、ぐるぐる回る、または浮くように感じる状態を指します。
数秒で治まる軽いものから、吐き気や嘔吐を伴う強いものまで症状はさまざまです。
耳の奥にある内耳や前庭神経の異常が原因となることが多いですが、脳の血流障害や自律神経の乱れなど全身的な要因で起こることもあります。
この記事では、耳鼻咽喉科で扱う代表的なめまいの原因、検査、治療、そして日常での注意点をわかりやすく解説します。
めまいの仕組み
人がまっすぐ立てるのは、「内耳(平衡感覚)」「目(視覚)」「筋肉や関節(深部感覚)」が協調して働いているからです。
内耳の「三半規管」と「前庭」が体の動きや傾きを感知し、脳へ信号を送ります。
この情報伝達が乱れると、体が動いていないのに動いているように感じる「回転性めまい」や、ふわふわする「浮動性めまい」が起こります。
主な原因となる病気
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
寝返りや起き上がりのときに数秒~1分ほどの強い回転性めまいが起こります。
内耳の「耳石(じせき)」が三半規管に入り込むことで発症します。
耳鼻科で最も多いめまいで、頭位を変える運動療法(耳石置換法)で改善します。
メニエール病
内耳のリンパ液が過剰になる(内リンパ水腫)ことで起こる病気です。
耳閉感・耳鳴り・難聴を伴いながら、30分~数時間続くめまい発作を繰り返します。
ストレス、睡眠不足、塩分過多が悪化因子となるため、生活リズムの見直しも治療の一環です。
前庭神経炎
風邪のウイルスなどが前庭神経に炎症を起こし、強い回転性めまいが数日~1週間続きます。
聴力は保たれますが、体勢を変えると強く症状が出ることがあります。
起立性調節障害・低血圧
立ち上がった際にクラッとする立ちくらみ型のめまいです。
自律神経の不安定さや血圧低下が関係し、特に成長期や疲労時に多く見られます。
中枢性めまい(脳疾患など)
小脳や脳幹に異常がある場合にもめまいが起こります。
手足のしびれ、ろれつの回らなさ、歩行のふらつきなどを伴う場合は、脳卒中などの可能性があり、救急受診が必要です。
耳鼻咽喉科で行う検査
- 眼振(がんしん)検査:目の動きから内耳・脳のどちらが原因かを判断します。
- 聴力検査:メニエール病や合併する難聴の有無を確認します。
- 平衡機能検査:重心動揺計や温度刺激検査(カロリックテスト)で平衡感覚を定量的に評価します。
- 画像検査(CT・MRI):脳血管障害や腫瘍などが疑われる場合に実施します。
治療法
- 良性発作性頭位めまい症:耳石を元の位置に戻す「耳石置換法(Epley法など)」が中心です。薬物は不要なことが多く、数日で改善します。
- メニエール病:利尿薬・ビタミン剤・抗めまい薬などで内耳の圧を調整します。塩分制限や十分な睡眠が再発予防に有効です。
- 前庭神経炎:ステロイドで炎症を抑え、抗めまい薬で症状を軽減します。バランスリハビリで機能回復を図ります。
- 起立性調節障害・自律神経性めまい:規則正しい生活、適度な塩分・水分摂取、運動療法が有効です。
- 中枢性めまい:脳神経内科での精査・治療が必要です。
受診の目安
次のような症状があるときは、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
- めまいが数日以上続く、または繰り返す
- めまいとともに耳鳴り・難聴・耳の詰まりを感じる
- 吐き気・嘔吐が強く、立っていられない
- 手足のしびれ、言葉が出にくい、まっすぐ歩けない(脳の病気の可能性)
日常でできるセルフケアと予防法
- 睡眠と休養を十分にとり、ストレスや過労を避ける
- カフェイン・塩分・アルコールの摂りすぎを控える
- 頭位めまい症では、**医師の指導のもとで行う耳石リハビリ(寝返り訓練)**が有効
- 急に立ち上がらず、頭をゆっくり動かす
- 水分をこまめにとり、脱水を防ぐ
- 発作時は無理に動かず、安静が第一。転倒を防ぐために横になりましょう。
まとめ
めまいは内耳の異常が原因となることが多いですが、脳や自律神経の不調が関与する場合もあります。
多くのめまいは適切な治療で改善・再発予防が可能です。
繰り返す、長引く、あるいは耳鳴りや難聴を伴う場合には、早めの受診が大切です。
原因を明確にし、生活改善と治療を両立させることが、再発を防ぐ第一歩です。
よくある質問(FAQ)
Q: めまいと立ちくらみは違うの?
めまいは「動いていないのに動いて感じる」感覚、立ちくらみは血圧低下による「意識が遠のく感覚」です。原因が異なります。
Q: 寝返りでぐるっと回るのは?
良性発作性頭位めまい症の可能性があります。耳鼻科で安全に治療できます。
Q: 強いめまいが出たらどうすれば?
動かず横になり、目を閉じて安静に。吐き気が強いときは受診をためらわず救急へ。
Q: メニエール病は治る?
再発しやすい病気ですが、発作を抑える治療と生活管理でコントロール可能です。
Q: ストレスでめまいは起きる?
はい。自律神経の乱れで内耳の血流が低下し、ふらつきを感じることがあります。
参考文献
- 日本めまい平衡医学会『めまい診療ガイドライン』2020年版
- 日本耳鼻咽喉科学会『耳疾患診療ガイドライン』2022年版
- 小川郁 編『耳鼻咽喉科・頭頸部外科学』南山堂, 2021年
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「めまい」「メニエール病」
- 山岨達也・加我君孝 編『めまいの診断と治療』金原出版, 2020年
